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スイミング(水泳)はなぜ健康にいい?医学的根拠から見る本当のメリットと注意点

はじめに

「ダイエットにいい」「肩こりに効く」「足腰に優しい運動」として、広く知られるスイミング(水泳)
一度は「健康にいいよ」と聞いたことがあるかもしれません。

でも、実際のところ——

  • 水泳ってどれくらいの運動強度なの?

  • 膝が痛くてもできる?

  • 子どもや高齢者にも向いてる?

そんな疑問を、論文などの医学的根拠を交えながら、わかりやすく解説していきます。


スイミングとは?基本のおさらい

スイミングは、水中で身体を動かす有酸素運動の一種です。泳ぎ方にも種類があり、

  • クロール(自由形)

  • 平泳ぎ

  • 背泳ぎ

  • バタフライ

  • 水中ウォーキング

などがあります。

陸上と違って、水の浮力・水圧・抵抗があることで、身体への負担が少なく、同時に筋力や持久力も高められるのが大きな特徴です。


水泳の5つの健康メリット【論文根拠あり】

1. 関節への負担が少ない(浮力)

水中では体重が約1/10まで軽く感じられます(日本整形外科学会, 2013)。そのため、膝や腰の負担が少なく、関節疾患を持つ方にも適した運動です。

参考:Nakanishi et al. (2007), “Exercise therapy in knee osteoarthritis: swimming vs. land-based training”, Journal of Rehabilitation Medicine

この研究では、変形性膝関節症患者においても、水泳が疼痛軽減と機能改善に効果的であると報告されています。


2. 心肺機能の向上

水の中では呼吸が制限されるため、自然と心肺機能が鍛えられます。実際、週2〜3回の水泳を継続することで、VO₂max(最大酸素摂取量)が改善されたという研究もあります。

参考:Gappmaier et al. (2006), Effect of aquatic exercise training on cardiorespiratory fitness in healthy adults: a meta-analysis.


3. ダイエット・代謝向上に効果的

体重60kgの人が1時間クロールを行うと、約500〜700kcalを消費すると言われています(Harvard Health Publishing, 2020)。
また水の抵抗により、全身の筋肉がバランスよく使われることで基礎代謝の向上にもつながります。


4. 自律神経の調整に役立つ

水の温度や水圧が心地よく働きかけ、副交感神経を優位にする効果が報告されています。
精神的なリラックス効果が得られ、ストレス軽減・睡眠の質向上にもつながると考えられます。

参考:Rattray et al. (2013), "Effects of aquatic therapy on sleep quality in adults", Journal of Sleep Research


5. 子どもの運動能力・発達支援に有効

スイミングは、子どものバランス感覚、柔軟性、心肺持久力などを高める優れた全身運動です。
また、水慣れが早い時期に進めば、溺水予防にもつながるという報告もあります。

参考:Asher et al. (1995), “Effectiveness of preschool swim programs in preventing drowning”, Pediatrics


注意したいスイミングのデメリット・リスク

1. 肩や首の使い過ぎに注意

特にクロールやバタフライは肩の回旋運動が多く、肩関節周囲炎(いわゆる四十肩・五十肩)や腱板炎のリスクがあります。

無理なフォームや過度な練習は、逆に肩を壊す原因に。

適度な距離・強度で泳ぎ、休息日を設けることが大切です。


2. 皮膚・呼吸器への影響(塩素)

公共のプールでは塩素消毒が行われており、肌の乾燥・目のかゆみ・アレルギー症状を感じる方もいます。
また、喘息持ちの方は塩素臭で症状が悪化する場合もあるため、医師と相談しましょう。


3. 冷え・体温調整に注意

水温が低すぎると体が冷えやすく、筋肉のこわばりや内臓への影響も懸念されます。
特に高齢者や虚弱体質の方は、温水プールウォームアップの徹底が重要です。


スイミングを安全に楽しむための5つのポイント

ポイント 内容
① 医師に相談 持病がある場合は、スイミングを始める前に医師の確認を。
② ウォーミングアップ 陸上と同様、ストレッチや軽い準備体操を行うことでケガを予防。
③ 適切なフォーム 無理な泳ぎ方を避け、スクールやインストラクターの指導を受けるのがおすすめ。
④ 睡眠・栄養とのバランス 運動効果を最大限にするためには、睡眠や食事も含めた生活習慣が重要。
⑤ 週2〜3回が目安 最初は短時間・低頻度からスタートし、継続できる範囲で。

よくある質問(Q&A)

Q1:スイミングは高齢者でもできますか?

はい。浮力により足腰への負担が少なく、転倒リスクも低いため、高齢者にも向いています。
ただし、心疾患・関節疾患がある方は必ず主治医と相談してください。


Q2:水泳は筋肉がつきすぎて太くなりませんか?

いいえ。競技レベルのハードな練習を行わない限り、スイミングで筋肉が過剰につくことはほぼありません
むしろ、全身の筋肉がバランスよく引き締まり、しなやかな身体づくりに役立ちます。


Q3:水中ウォーキングでも効果ありますか?

もちろんあります。水中ウォーキングは膝に優しく、心肺機能や代謝改善にも効果的とされています。
泳げない方や初心者、高齢者には特におすすめです。


まとめ:スイミングは「人生を支える運動」

スイミングは、年齢・体力に関係なく取り組める「一生モノの運動」。
浮力や水圧など、水ならではの特性により、関節に優しく、全身の筋力・心肺機能を鍛えることができます。

さらに、ストレス軽減や自律神経の安定、睡眠改善など、心身の健康にも役立つ多機能な運動です。

とはいえ、すべての人に万能というわけではありません。持病がある方は医師の判断を仰ぎ、正しい方法で行うことが大切です。

まずは無理のないところから、気持ちよく始めてみましょう。


※本記事は一般的な健康情報の提供を目的としており、特定の治療や効果を保証するものではありません。具体的な体調や症状については、医師・専門家にご相談ください。

2025/07/31