骨粗鬆症は、骨の密度や質が低下し、骨折しやすくなる疾患です。特に高齢者に多く見られ、生活の質を大きく左右します。本記事では、骨粗鬆症の原因、診断、予防、治療について、最新のガイドラインや研究を基に解説します。
骨粗鬆症は、骨の強度が低下し、骨折リスクが高まる疾患です。日本では高齢化に伴い、患者数が増加しています。骨折は寝たきりの原因となるため、早期の予防と治療が重要です。
主な原因は以下の通りです:
加齢:年齢とともに骨密度が低下します。
ホルモンの変化:閉経後の女性はエストロゲンの減少により骨密度が低下します。
栄養不足:カルシウムやビタミンDの不足が骨の健康を損ないます。
運動不足:適度な運動は骨密度を維持するのに役立ちます。
診断には以下の方法があります:
骨密度測定:DXA(デキサ)法が一般的です。
骨折の有無の確認:既存の骨折があるかを調べます。
骨代謝マーカーの測定:骨の新陳代謝の状態を評価します。
予防策として以下が推奨されます:
適切な栄養摂取:カルシウムやビタミンDを十分に摂取します。
定期的な運動:ウォーキングや筋力トレーニングが効果的です。
生活習慣の改善:禁煙や過度な飲酒を避けます。
治療には薬物療法が中心となります。2015年の「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」では、以下の薬剤が有効性とともに評価されています
ビスホスホネート製剤:骨吸収を抑制し、骨密度を増加させます。アレンドロネート(商品名:フォサマック、ボナロン)やリセドロネート(商品名:ベネット、アクトネル)などがあります。これらは骨密度上昇効果および椎体・非椎体・大腿骨近位部の骨折抑制効果が高いと評価されています。
選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM):エストロゲンの作用を模倣し、骨密度を維持します。
副甲状腺ホルモン(PTH)製剤:骨形成を促進します。テリパラチド(商品名:フォルテオ、テリボン)は、骨密度上昇効果および椎体骨折抑制効果が高いと評価されています。
抗RANKLモノクローナル抗体:骨吸収を抑制します。デノスマブ(商品名:プラリア)は、骨密度上昇効果および椎体・非椎体・大腿骨近位部の骨折抑制効果が高いと評価されています。
薬剤の選択は、患者の年齢、骨折リスク、併存疾患などを考慮して行われます。
骨粗鬆症は予防と早期治療が重要です。適切な生活習慣の維持と、医師の指導のもとでの治療により、骨折リスクを低減できます。定期的な検診を受け、骨の健康を維持しましょう。
2025/04/26